某ADHD 寂しすぎてアオムシを飼育する
いつから人は年をとることが嫌に感じるのでしょう。
少なくとも二十歳までは年齢で解禁される何かしらを夢見てワクワクしていたはず。
そう思いたち、これからは未体験のものはなるべく挑戦していこうと思いました。
そうは思っても自分だけではどうにもならない問題もあります。
私は1人暮らしが寂しくてそろそろ気が狂いそうであります。
しかし何かの生き物と共に暮らすことは、金銭的な問題が大きく立ちはだかります。
物件が許可しているか否か等色々な壁に阻まれ、何かと共に生きたいと思いながらも叶えられずにおります。
さて、先日産地直売所で購入したカブの茎にアオムシがおられました。
私はある程度の虫は倒せるのですが、想定範囲外の大きさのアオムシだったので怯んでしまいました。5cmくらい。
どうしよっかなーと戦意喪失し茎を眺めていると、なんともう一匹いらっしゃるではありませんか。
…これはもう無理だ。
殺生はなるべくしたくないので、カブと茎を切り離して茎を外に…とか考えていたのですが、ふと、「共に生きてもらおうかな」という思いがよぎりました。
虫なら金銭的な問題も物件の問題もクリアする!!
すごい怖いけど、夢が叶う!!
と、寂しさが恐怖に打ち勝ちました。
突然寂しさが勝ったので、虫かごなんてものは買ったことないですし、何が必要なのかもわかりません。
遥か昔、小学校の時の国語だか理科だかの教科書に、タマゴから蝶になるまでの記録があったことをぼやーーっと思い出し、「観察の為には透明な入れ物」という算段がはじき出され、もともとは昆布が入っていたガラス瓶にカブの茎ごとセット。
「換気できる穴が必要」であり、「脱走されたら怖い」ので、ガラス瓶のフタ部分に排水口に使う網ネットをセット、輪ゴムで止めました。
即席にしては意外とちゃんとした感じになりました。
「脱走されたら怖い」ので監視の為に寝ている布団の横の机に瓶を置いていましたが、それはそれで怖い。
夜寝る前と朝一番は「脱走していないか」を確認する為に欠かさず瓶を覗く日々。
好きなのか怖いのかもうごっちゃです。
そして初日、まず個体を可愛がるには名前です。
アオムシなので「アオイ」と「ミドリ」と名付けました。大きい方が「ミドリ」です。
アオイはミドリの1/3くらいしかなく、まだまだちっちゃいのかなと思いました。
夜寝る前。
なんとアオイが脱走を目論むかのごとく、網のすぐ近くまで来ていました。
緊張感が走る人間。下に落とそうと茎でつついてみましたが、結構強い力で張り付いているので諦めました。ぐにぐにするのを感じるのがダメなのです。
輪ゴムを増やして脱走できないよう強化し眠りに就きました。
すると、小さいと思っていたアオイがサナギに。
なんとアオイの方が年長者だったようです。
よくよく観察するとポケモンのトランセルにそっくりです。そうか、ということはバタフリーのような蝶になる…のか?
でも検索して画像がどばーっとでたら怖いので検索しませんでした。
蝶になったら網が邪魔でしょうから、網を除去しベランダに移しました。
このトランセル時期がとても長く、毎日覗いても覗いても変わりませんでした。
きっと殻がばりっと破れるほどには乾かないといけないだろうし…と眺めておりましたが、ふと「…本当に蝶なんだろうか」という疑問が浮上。
どうしよう蛾だったら。
ふわふわで可愛いじゃないか。せめて私の見ている間には電灯に特攻して死ぬことがないように…と祈っておりました。
知人が察するに、「蛾は毛虫だから蝶だと思う」とのこと。
とある日、ミドリがミドリ色のつぶつぶを大量に撒き散らしてアオイの幼虫時の大きさになっていました。
ミドリ色のつぶつぶが何かは相変わらず調べません。糞ではなさそうです。
そして程なくしてミドリもトランセルに進化しました。
…暇な毎日。
やっと生き物と暮らせると思ったら、二つとも動かなくなってしまいました。
この時期カブをどこから仕入れればいいのか悩んでいたので、餌のことを考えなくてういいのは有難いのですが、本来したかったことは多分これじゃない気がします。
網の除去早すぎたかなとか考えてました。
そんなこんなで一週間過ぎ。
なんと急にモンシロチョウらしき模様が浮かび上がってきました。
これは殻を破りハネを乾かしたらサヨナラです。急激なクライマックスの予感にドキドキ。
そして急に一泊家を空けるスケジュールが決定。どうなるアオイ!?
急いで帰ってきましたが…アオイが入っていた殻は破れ、本体もいなくなっていました。
なんと…大半がトランセルを眺めただけで終わってしまった。
そうだミドリはどうなった!?
と瓶をもう一度探すと、なんと蝶になって羽を乾かしているではありませんか。
おおこれが噂に聞いていた状態。蝶だとわかっただけでもよかった。蛾じゃなかった。
ですが私の体力は瀕死であり、次目を覚ました時には羽も乾き遠くへ旅立っていることでしょう。
さようならミドリ、アオイ。
お互い何もできなかったけど、「もっとかまいたかったなあ」という気持ちが私には芽生え、アオムシに対する恐怖が少し減りました。
来年はアオムシを見つけたらせっせと虫かごにぽいぽい入れてしまうかもしれません。
新しい経験値が取得出来て嬉しいです。
ではまた後日。